医のこころ
一般社団法人 日本医療学会

専門医

医師の専門領域はどのようにして決まるのか

医師は通常◯◯科と名刺や看板に自分の専門領域を名乗って(標榜)います。このような医師の専門領域はどのようにして決まるのかご存じない方も居られるかも知れません。実は医師免許証を持っていれば自分の判断でどの診療科でも幾つでも標榜して良いことになっているのです。自由意思で専門とする診療科を決めることが出来る自由標榜が原則になっています。

標榜できる診療科名は

自由標榜とは言っても標榜出来る診療科名には制限があり、昭和23年に決められた28の診療科名の中から選ぶこととされていました(コンシェルジュ参照)。

ところが、平成20年に診療科標榜のルールが変更になり、ここで簡単に説明することが出来ないほど複雑になるとともに専門領域が細分化され、無数に近いほどの診療科名が生まれることになってしまっています。

しかし以前同様に自由標榜です。その結果、現在国として正確な標榜診療科毎の正確な医師数を集計することは不可能に近い状態であろうと思われます。

国民はどのようにして医師の専門性を知ることができるのか

国は自由標榜の中でも医師の専門性を国民に明らかにする目的で主たる分野別の学会が一定の条件化で専門医を育成する制度を実施した場合「○○学会認定○○専門医」として専門医であることを明らかにすることを許可しました。

その結果現在約60の学会が専門医認定を行えることとなり、いまだ国からは認められてはいませんが多くの学会が専門医認定を行って来ています。このように専門医が乱立状態です。しかし基本的に各学会の独自の制度であり全体的な統一性がなく専門医レベルの調整も不十分でありました。

公に認められる専門医を

最近ようやく国と学会、医師会が協調して新たに「一般社団法人日本専門医機構」を発足させ、国として統一した認定を行う専門医制度を作り上げることとなりました。

このような新しい組織で専門医のあり方が検討されてはいますが結局は医療関係者だけの間で医師の都合、国の都合を優先した専門医制度となってしまうことが危惧されます。

専門医という名称はあくまでも国民が医師を選ぶ時の判断資料の一つとして、患者目線に立って考えられるべきものであり、単なる医師のタイトルであっては意味がありません。国民として求める専門医とはどのようなであるのか、国民が声を挙げなければならないのです。

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